雇用の流動化が各分野に浸透し始めおり、引越し業界にもその影響が出てきています。正社員の人数を減らし、その代わりの労働力を派遣社員やアルバイトスタッフでカバーするという引越し業者が近年増加して来ました。
アルバイトや派遣雇用の多用化
バブル崩壊後、日本は未曾有の経済危機に襲われ、その悪影響を緩和させるために、伝統的な終身雇用という雇用体系を見直し、アルバイトスタッフや派遣社員を多用する経営スタイルに舵を切った企業が相次ぎました。
未だに景気回復の兆しが見えない日本では、正社員を大量に抱える事は経営を進める上でリスクになると真剣に考える企業トップが多く、有名企業や大手チェーン店でも、現場で実際に働くのは正社員ではなくアルバイトスタッフや派遣スタッフになりました。
終身雇用制度や年功序列制度を廃止し、現場の人件費を削減に重点を置いたため、現場ではアルバイトや派遣社員など非正規社員を利用するようになりました。
現代では、ほぼ全ての大企業が「現場の人件費を圧縮する」という方針に切り替えて、利益を確保するビジネスモデルになっています。
人件費の圧縮で出た利益を顧客に提供するサービス料金の値下げという形でサービスを展開しています。
引越し業界でも非正規社員の作業スタッフがほとんど
雇用の流動化と経済不況によって、サービスの料金が軒並み値下がりしたのは消費者にとっては大きな利益です。
引越しの業界も例外ではなく、今では正社員の割合が激減しており、現場では正社員のリーダー以外の引越し作業スタッフは、ほとんどが非正規社員となりました。
引越し料金が激安になったメリットは大きいものの、非正規で未熟なアルバイトスタッフばかりが引越し作業を請け負うと色々なトラブルが発生する可能性が高くなります。
引越し作業員が未熟なアルバイトスタッフばかりだと深刻なトラブルが発生
例えば、割れ物注意としっかりと箱に明記された荷物を乱暴に扱って運搬するなど、貴重品や美術品が引越し作業中に破損する引越しトラブルがあります。
その他にも、家財道具が箱単位で行方不明になったり、スタッフが荷物を搬送する住所を間違ってしまい他人の家に荷物が送られそうになるなどの引越しトラブルが発生します。
非常に稀な事例ですが、アルバイトスタッフが高価な家電製品や貴金属類を勝手に持ち帰るなど賠償や訴訟に発展する引越しトラブルもあります。
特に現場のリーダーまでもが経験の浅い非正規社員だった場合は、引越しの品質がとても悪くなります。
壁などに養生が正しく行われず、家電製品や大きな家具を搬出する際、家の壁にぶつけられて壁に傷がついたり破損したりするトラブルが発生する可能性が非常に高くなります。
さらに、液晶テレビを地面に落とされて画面を割れてしまう、作業中にパソコンの液晶モニターが破損するなど、大事な家具や家電製品が破損するトラブルも起きる可能性も高まります。
こういった引越しトラブルに遭わないように、引越し会社に事前に現場リーダーは正社員か?アルバイトスタッフは何人で来るのか?などを問い合わせておきましょう。
さらに、引越しの作業現場では、必ず依頼主がスタッフの動きや作業の丁寧さ、態度などを監視・監督しましょう。引越し作業員の態度や作業の手際に違和感や不安を感じたら、その場で引越し会社に電話して状況を報告しましょう。
そうすれば、すぐに現場リーダーの携帯に会社から連絡や指示が行って、引越し作業や態度が丁寧になるでしょう。